この記事は、こういったお悩みを解決する記事となっています。
筆者は約1年半ほど前に航空無線通信士の資格試験を受験し、無事に一発合格しました。
試験合格までの勉強期間は2~3か月ほどでした。
この記事では、その際の体験談も踏まえつつ、航空無線通信士の資格の概要や試験内容、難易度、合格率、勉強方法、合格後の免許申請手続き方法などを細かく解説していきます。
- 効率的な勉強によって、航空無線通信士の資格をサクッと取得したい
- 航空無線通信士の受験を考えているけれど、試験内容や難易度がわからないので心配
- 航空無線通信士の試験合格率を知りたい
こういった方々におすすめの記事となっておりますので、ぜひご覧ください。
航空無線通信士とは
航空無線通信士とは国家資格の一つであり、航空関係のいくつかの職業に従事するために必要となる資格です。日本無線協会のホームページでは、以下の通り説明されています。
(日本無線協会 航空無線従事者 のページより引用)
航空会社のパイロット、地上で無線通信の業務に従事する人たちや航空交通管制の業務に従事する人たちが取得するものであり、次のようなことを行うことができるものです。
- 航空運送事業の用に供する航空機を含むすべての航空機に施設する無線設備の操作
- 航空交通管制の用に供する航空局を含むすべての航空局や航空地球局の無線設備の操作
- 航空機のための無線航行局の操作
つまり、この資格がないと、航空機や航空管制・無線局の設備を操作して無線通信を行うことができません。
具体的には、以下のような職業に就くと航空無線通信士の資格が必要となります。
- パイロット
- 管制官
- 航空整備士(飛行試験などで無線関係機器の作動試験を行う場合) など
エアラインパイロットや軍用機パイロット、航空交通管制官を目指す人には必須の資格です。
航空特殊無線通信士との違い
似た資格として、航空特殊無線通信士という資格があります。こちらも国家資格の一つです。「航空無線通信士」と「航空特殊無線通信士」の違いを一言で言うと、事業用の航空機や航空交通管制航空局の無線操作をできるかどうか?がになります。
つまり、仕事で航空無線の操作を行うためには航空特殊無線通信士では不十分であり、航空無線通信士の資格を取得する必要があります。
航空特殊無線通信士・・・自家用航空機などで航空無線を扱うために必要
試験概要
ここでは、航空無線通信士の試験がどのようなものなのかを解説します。航空無線通信士の資格を取得するには、開催される資格試験に合格する必要があります。
試験日程・会場
航空無線通信士の試験は毎年2月・8月の年2期の開催があります。
例えば、令和5年は2月22日と8月24日にそれぞれの期の試験が開催されています。どちらの期で受験しても内容は同じであり、試験科目や取得できる資格に違いはありません。
試験は1日かけて行われます。15時頃まで筆記試験が行われ、その後に実技試験が行われるという日程が多いです。
また、試験会場は全国にあり、東京都、札幌市、仙台市、長野市、金沢市、輪島市、名古屋市、大阪市、広島市、松山市、熊本市、那覇市で行われます。
試験内容
試験は筆記科目が3科目、実技試験が1科目の合計4科目あります。試験科目と内容は以下の通りです。
科目 | 内容 | 合格基準 |
無線工学 | 無線のしくみや高校レベルの電磁気学、種々電波航法やその設備などについて | 49点以上/70点 |
放棄 | 電波法の概要、無線従事者や設備の定義や内容、およびそれらの運用などについて | 70点以上/100点 |
英語 | 決まった内容はないが、比較的航空関連の内容の英語テスト。英文読解・和文英訳・リスニング | 60点以上/105点 |
電気通信術 | フォネティックコードの聞き取り(受信)・発音テスト(送信) | 送受信各80点以上/100点 |
※それぞれの対策方法については、次の章にて詳しく解説しています。
どの分野も満点を取る必要は無く、6~7割ほどの得点で合格となります。そして、全ての科目で合格することで晴れて航空無線通信士の免許取得資格が得られ、免許申請に進むことができます。
また、航空無線通信士の試験には科目合格制度というものがあり、各科目の合格実績を3年まで持ち越すことができます。そのため、必ずしも1度の試験で4つの科目をまとめて合格する必要はなく、試験を複数回に分けて免許取得にたどり着くことも可能です。
試験の難易度
毎回の試験の合格率はおよそ30~40%です。資格試験の中では、比較的高い方なのではないでしょうか。
また、各科目の合格率は無線工学・法規・英語の筆記試験3科目が約45~60%、電気通信術が約85%です。
電気通信術が実技ゆえに難しくとらえてしまいがちですが、合格率で見ると比較的難しいのは筆記試験です。対策の際は、筆記試験対策に比重を置いて進めると良いでしょう。
【合格体験談】勉強方法は?必要な勉強時間は?
ここからは、私の実体験に基づいた合格必須勉強方法や必要な勉強時間を紹介します。
勉強の前に・・・過去問の準備!
勉強にあたって、過去問は必須です。過去問を解くことで、どういった問題が出るのかやどのような勉強をすれば良いのかを知ることができます。その結果、合格に向けたロードマップを作ることができます。
ゴールからの逆算で効率的に資格合格を目指しましょう!過去問は公式サイトでダウンロードすることができます。
勉強方法は、①無線工学・法規、②英語、③電気通信術 の3つでそれぞれ分けていました。それぞれ解説します。
無線工学・法規
無線工学や勉強方法はいたってシンプルです。
- 過去問を解いてみて、問題内容や必要な知識を知る
- 参考書を用いて上記を勉強・復習する
これの繰り返しで確実に試験合格可能です。目安ですが、過去問6回分を2~3周ほどすれば確実に合格可能です。
なぜなら、無線工学と法規では過去問とほぼ同じ問題が出題されるからです。これらを暗記レベルで習得してしまうことで、正答率も回答速度もぐんぐん上げることができます。
使用していた参考書はこちらの1冊のみです。他の参考書は不要です。非常に丁寧に解説されており、無線知識や法規の知識は全くなかった自分でもすんなりと勉強を進めることができました。
1科目の過去問を1時間で解き、1時間で参考書復習とすると合計2時間。これを毎日行うとすると、1か月もあればこれら2科目の対策は完成させることができます。
過去問を解く際の注意点ですが、あまり昔の過去問までさかのぼりすぎないようにしましょう。というのも、昔の過去問と最近の過去問では、法律改正などにより正解が変わっている可能性があるためです。特に、法規科目はそういった影響を受けやすいため、注意が必要です。
これら2科目は暗記科目です。断言できます。勉強量がモノを言いますので、計画的にコツコツ勉強を進めていくのがベターです。
私の2か月間の対策機関でも、最も勉強時間を割いていたのはこれら2科目でした。残りの2科目は、電車の中などのちょっとした隙間時間でも対策が十分なので、とにかくこれら2科目に注力していました。
質より量です!ゴリゴリ過去問を解きまくりましょう!
英語
英語の対策で重要なのは、航空関連の英単語を事前に勉強しておくことです。
英語試験の英語レベルは、基本的にセンター試験などの一般的高校英語と何ら変わりありません。そのため、高校英語の基礎がしっかりしているならば、英語対策に時間を割く必要はありません。
ただ一つ対策しておきたいのが、航空関連英単語です。長文読解やリスニングなどの題材が航空関連の内容であることが多く、頻出する英単語群があります。一度過去問で確認してみてください。
例えばですが、以下のような日常英語では聞かない英単語が出題されます。
- distress communication:遭難通信
- air-ground control radio station:対空完成無線局
- international aeronautical telecommunication service:国際航空電気通信業務
- verification for the receiving station:受信局の確認
初見殺しにならないよう、これらの英単語だけは勉強していました。
なお、この航空英単語の勉強についても、先ほど紹介した参考書で勉強が可能です。参考書の後ろの方のページに過去に出題された航空関連英語一覧のページがあり、そこに掲載されている英語を覚えればOKです。むしろ、この参考書以外での勉強はしていませんでした。
私が英語の対策に割いた時間は、過去問6回分を1周+電車の中などのスキマ時間で航空英単語勉強くらいでした。そこまで多くの時間は割いていませんでした。
英語の対策は航空英語習得に注力し、出るところだけを着実に抑えていきましょう!
電気通信術
電気通信術の対策が一番楽です。フォネティックコードの練習アプリを使って聞き取りと発声の練習をするだけです。
Apple Storeなどで「フォネティックコード」と検索すると出てくる無料アプリで対策可能です。
最初は難しく感じますが、繰り返すうちに慣れていくので心配無用です。期間としては、一週間もあれば十分ではないでしょうか。
最後に
本記事では、筆者の合格体験談を踏まえつつ、航空無線通信士の資格の概要や試験内容、難易度、合格率、勉強方法、合格後の免許申請手続き方法などを細かく解説しました。
いかがでしたか?
航空無線通信士は必ずしも高難易度の資格ではないので、過去問や参考書で勉強することで効率的に勉強することで上手に合格を目指しましょう!